水ぼうそうに感染したら発症しうる
「帯状疱疹」とは
ピリピリ・チクチクとした痛みから始まり、赤い湿疹、水ぶくれが身体の左右どちらかに帯状に現れます。眠れないほど強い痛みに襲われたり、帯状疱疹後神経痛が残ったりすることもあります。多くの方にとって初めての経験であるため(再発率は約6%)、筋肉痛などと間違い、受診が遅れてしまうケースが少なくありません。症状に気づいた時には、お早めに当院にご相談ください。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスを原因とします。過去に水ぼうそうになったことのある人であれば、誰でも発症しうる病気です。
帯状疱疹の症状
1初期症状
初期には、神経の炎症によってピリピリ、チクチクとした痛みがあります。
その後、以下のような症状が続きます。皮膚症状が続く限り、痛みも続きます。
2発疹
胸、背中、腹部、お尻、顔面などに、赤いブツブツが現れます。
3水ぶくれ
身体の左右どちらかに、帯状に水ぶくれが発生します。
水ぶくれはやがて、膿を持つようになります。
4ただれ・潰瘍
水ぶくれが破れ、ただれ・潰瘍ができます。
5かさぶた
発症後3~4週間で、かさぶたとなります。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染です。ただ、感染してすぐに帯状疱疹を発症するわけではありません。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染してまず発症するのは、水ぼうそうです。水ぼうそうが治ってからも水痘・帯状疱疹ウイルスは身体の神経節に潜伏しており、免疫力が下がった時に再度活性化し、帯状疱疹を発症します。
唇の周りに水ぶくれができる
「口唇ヘルペス」とは
口唇ヘルペスとは、唇やそのまわりに小さな水ぶくれができる病気です。
痛みなどの症状に加えて、見た目の問題も気になります。また、原因となる単純ヘルペスウイルスは、高い感染力を持ちます。
自然治癒する病気ではありますが、放置せず皮膚科などで治療を受けることをおすすめします。
口唇ヘルペスの症状
- 唇、そのまわりの小さな水ぶくれ
- 痛み、ピリピリ感
- かゆみ、むずむず感
- 顎、耳付近のリンパ節の腫れ(初感染の際)
主に、上記のような症状が見られます。
水ぶくれは、その後かさぶたとなります。
口唇ヘルペスの原因は?
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染を原因とします。口唇ヘルペス発症者とのキスや性行為だけでなく、食器・タオルの共用などでも感染します。
なお、単純ヘルペスウイルスの感染はありふれたもので、国内での感染率は50~70%にのぼります。普段は静かにしていますが、体力が低下した時などに活発化します。そして、口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどを引き起こします。
口唇ヘルペスはうつる病気?
口唇ヘルペスは、キスや性行為、食器・タオルの共用などによって、まわりの人へとうつしてしまうことがあります。
キス・性行為
発症している人とのキス、性行為によって人から人へと感染します。
性器へと感染したものを、性器ヘルペスと呼びます。
症状が出ている間は、キスや性行為を控えることをおすすめします。
食器・タオルの共用
単純ヘルペスウイルスは、物へと付着してからもなかなか死滅しません。
食器やタオルを共用した場合には、家族など身近な人へと感染させてしまうおそれがあります。
症状が出ている間は、たとえ家族であっても食器やタオルは共用しないようにしましょう。なお、食器もタオルも、洗えば他の人への感染の心配はないとされています。
帯状疱疹・口唇ヘルペスの検査
多くの場合、症状や経過をもとに診断がつきます。
診断が難しい場合、帯状疱疹との鑑別が必要な場合には、抗原検査、血液検査を行います。
抗原検査では、水ぶくれを綿棒で拭い、単純ヘルペスウイルス抗原の有無を調べます。
帯状疱疹・口唇ヘルペスの治療と予防方法
帯状疱疹
抗ヘルペスウイルス薬による薬物療法が中心となります。症状が現れてから、3日以内に内服することが重要となるため、1日でも早くご相談ください。
ストレス、疲労などは悪化因子となるため、心身をゆっくり休ませることも大切です。
その他、必要に応じて、消炎鎮痛薬の処方、ブロック注射も行います。
予防方法
帯状疱疹ワクチンの接種により、発症、重症化、帯状疱疹後神経痛の予防が可能です。
帯状疱疹の発症率が高くなる50歳以上の方は、ワクチンの接種をおすすめします。当院で受けていただけます。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスは、約2週間で自然治癒します。その間、水ぶくれに触らない・潰さないようにして、感染拡大を防ぎましょう。かさぶたになれば、その後自然に剥がれ落ちるのを待ちます。
医療機関では、薬物療法を行います。
抗ヘルペスウイルス薬の外用薬、内服薬を使用します。発症後、できるだけ早く使用を開始することが大切になりますので、放置せず早めにご相談ください。
重症化した場合などは、点滴や入院治療が必要になることがあります。
予防方法
現在のところワクチンがないため、単純ヘルペスウイルスに感染しないことが予防となります。
ヘルペス(性器ヘルペスを含む)のある人とのキスや性行為を避けること、家族が発症している場合に食器・タオルを共用しないことなどが対策として挙げられます。
なお、ウイルスが付着した食器、タオルを洗ってから使う場合には、感染の心配はないとされています。